■建築の日本展

六本木ヒルズの森美術館で行われている「建築の日本展」に出展した。

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建築の日本展01

で、その様子を見に行ってきた。

「建築の日本展」は古代から現代までの日本の建築を9つのキーワードでカテゴライズし、

それぞれ模型などを展示する大型の建築展覧会。

4/25から開催されている。

 

ここで我々は、9つの章のうちの一つ「1.可能性としての木造」のコーナーで、

木造超高層プロジェクト案を展示した。

 

会場は原則撮影禁止なので、製作途中の模型がこちら。

建築の日本展02

このプロジェクトは、「純木造」で高さ200mの超高層建築をつくるというもの。

(1/100で、2mもあるデカイ模型。)

今回の展示のために結成された「チーム・ティンバライズ200」のメンバーで、以前より計画を進めてきた。

技術的にはすでに実現可能であることを示す一方で、

超えなければいけない現実的なハードルはまだまだ多いため、

その課題を浮き上がらせる提起的なプロジェクトでもある。

 

建築としては、伝統的な木造建築を踏襲した構成で、以下の3要素からなる。

主屋(メインフレーム)

下屋(サブフレーム)

室礼(スクリーン)

 

メインフレームは2m角の大きな柱と梁で、階高10mの大きな骨骼。

サブフレームはメインフレーム内につくられ、階高3mの骨組みが積層される。

スクリーンは、内部環境を制御する外皮や、空間を規定する間仕切りなど。

 

今回の展示では、構造をあらわす模型にとどまったが、

引き続き実現に向けて案を発展させる所存。

 

 

さて、このプロジェクト以外にも見どころはたくさん。

建築の日本展04

千利休の茶室「待庵」の原寸模型。

中にも入れる。極小の宇宙。絶妙なスケール。

建築の日本展05

「丹下健三自邸」の1/3模型。

1階をピロティにする構成は、広島平和記念資料館と同じ。

この二つは撮影可。

 

他にも日本を代表する近現代建築や、歴史的建造物の模型展示が多数並び、じっくり見てると1日かかる。

そして展覧会のチケットで屋上にも行ける。

建築の日本展06

初めて来た。

田舎者ゆえ東京タワーを見ただけでテンション上がる。。。

「あ、東京タワーだ。」と絶対言ってしまう。。。

 

「建築の日本展」は9/17まで開催。

 

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■前川邸

江戸東京たてもの園で「ル・コルビュジェと前川國男」展をやってたので見に行ってきた。

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園内には昭和の住宅がたくさんあって、前川國男の自邸(1942)も移築復原されている。

前川邸03

「木造モダニズム建築」といえばこれ。

というわけで、お邪魔しまーす。

前川邸01

 

感想。すごく良かった。

いや、良かった。

30坪とそれほど広くない面積ながら、いかにそれを豊かな空間にしようかと尽力したにちがいない。

 

前川國男は大学卒業式の日の夜、シベリア鉄道でパリへ向かい、コルビュジェに弟子入りしている。

その後二年間、コルビュジェの事務所で働いた。

 

この住宅では、サヴォア邸との共通点がいくつも発見できた。

前川が在籍していた頃、サヴォア邸はちょうど設計が終わり工事中だったはず。

水平連続窓、台所の作り方、暖房設備の置き方、窓の穿ち方、収納の作り方、などなど・・・。

大窓の参照はラ・ロッシュ邸かもしれない。

前川邸02

 

帰国後、アントニン・レーモンドの事務所で働いたので、木造建築の作法はレーモンド譲りか。

(本当はコンクリートで作りたかったのだろうと推察する。でも戦時中だったので。)

それらと伝統的な日本式住宅の意匠とが合わさった感じで。

いや、良かった。

 

展示も良かった。

前川邸04

貴重な原図やスケッチの数々。

 

さらに、藤森照信さん、山名善之さん、米山勇さんの御三方によるシンポジウムを拝聴。

近代建築史の良い勉強になった。

しかも、史実には出てこないようなエピソードまで聞けて楽しかった。

点で知っていただけの知識が線になった感覚がした。

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■秋田駅待合ラウンジ

JR秋田駅の待合室が、この春「待合ラウンジ」としてリニューアルOPEN。

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幸運なことに、家具コーディネートを担当させて頂いた。

秋田美大の准教授・小杉栄次郎先生との恊働案件。

 

オープン後の状況を見に行ってみた。

秋田駅待合ラウンジ02

満席。

電車を待つだけじゃなくて、寄合い的にも使えるラウンジ。

テーブルやイスなどの家具は、木の内装に合わせて、木製のものがほとんど。

JRの皆さんからも「すごく評判が良い」と褒めてもらえて、よかったー。。。

 

ちなみに今回の仕事は家具のコーディネートのみなので、(残念ながら…)空間の設計には関わってない。

秋田杉のルーバーで覆われた内外装のデザインは小杉さんによるもの。

天井は平らではなく、高くなったり低くなったりと、ダイナミックな空間を演出している。

 

昨年の秋ごろから、小杉さんをリーダーとして、家具製作者として萩原製作所の若頭・萩原博則さんと、家具コーディネートのサポートスタッフとして私の3人でこのプロジェクトを進めてきた。

 

このブログでもところどころ、その経過を書いてきた。

秋田観光の拠点となる空間のため、秋田が誇れるプロダクトのつくり手・曲げ木家具「秋田木工」や川連塗り工房「寿次郎」にご協力を仰いだり。

さらに、秋田県の形をした巨大スツールのデザインを今中隆介教授に担当して頂いたり。

多くの力が合わさった。

 

まあ過程はともかくして。。。

秋田駅待合ラウンジ01

老若男女、ゆったりとくつろいでくれれば何よりです。

秋田駅待合ラウンジ04

併設の、観光案内所(秋田市の管轄)のインフォメーションカウンターもデザインさせていただいた。

天板には天然秋田杉を使用している。

秋田駅待合ラウンジ03

時刻表や観光ポスター等を掲示しているポスターケースもさりげなくオリジナル。

フレームレスのアクリル製で、木の空間の邪魔をしないよう極めてシンプルにデザインした。

 

ちなみに、写真手前の「アキタリビング」と書かれたこのポスター。

本ラウンジのコンセプトとそれぞれの家具の説明が書いてあるので、ぜひ現地で確認してみてください。

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■クライマックス

3月のとある夜・・・。

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終電後の秋田駅に集められた我々関係者・・・。

秋田駅待合ラウンジ05

この冬期間、JR秋田駅の待合室はリニューアルオープンすべく工事中だった。

この日までにすでに内外装は工事を終え、待合室として仮使用されている。

秋田駅待合ラウンジ06

そして今夜、新たに計画してきた家具の搬入を行なうのだ。

無事に終われば明日の始発から「待合ラウンジ」として、正式オープンだ!

わくわく。

秋田駅待合ラウンジ07

設置を待つ家具たち。

「秋田木工」の家具製品を、この空間のために別注した特別仕様品(スペシャルエディション)だ。

伝統の曲げ木技術。

 

写真手前はご存知不朽の名作、剣持勇デザインのスツール「No.202」。

脚は木本来の色を活かした塗装仕上で、座面はアルカンターラという高級素材を張ったもの。

脚と座のカラーリングはずいぶん検討を重ねたなぁ。。。

 

さて、こちらはダイニングチェア「No.503」。

秋田駅待合ラウンジ10

座面にはこまち普通席シートの生地を張っているという、JR施設だからこそ実現した、鉄道的レアコラボアイテム。

ホームを見下ろせるカウンター席に。

秋田駅待合ラウンジ08

で、こちらは分厚い天然秋田杉を使用したローテーブル。

これはこのプロジェクトに合わせて作ったオリジナル家具。

杉は二ツ井町のくどうはじめ材木店、鉄は五城目の川村鉄工所のご協力のもと。

秋田駅待合ラウンジ09

こちらは一枚の板を折り曲げたようなデザインのイス。

奥のテーブルもオリジナル家具。

オリジナル家具はすべて、萩原製作所にて製作。デザインは秋田美大の小杉准教授。

 

さて並べるぞ。

秋田駅待合ラウンジ11

JR秋田支社の皆さん、萩原製作所の社長はじめ職人の皆さん、秋田木工の社長はじめ職人の皆さん、我々デザインチームと総出で、ワイワイガヤガヤとあっという間にレイアウト。

秋田駅待合ラウンジ12

これ。

普通の駅待合にはまずないであろう、ロッキングチェアの導入も“ラウンジ”と言うコンセプトなればこそ。

座り心地は抜群。

はあー、くつろげる。。。

さすが秋田木工往年の名品。。。

傍らには、バネのように揺れる木製スツール「クルビス」も。

とても面白い座り心地。

秋田駅待合ラウンジ13

こちらは、開封した瞬間みんながどよめいた、川連漆のテーブル。

渋い、かっこいい。

秋田駅待合ラウンジ14

中央にどーんと構えるのは、秋田県の形をした特大スツール。

6つに分割可能で、秋田を走る鉄道のラインが描かれている。

 

座面が波打っているのは、実際の地形を表現したもの。

たしかに、鳥海山のあたりがいちばん高くなっているぞ。

デザインは秋田美大の今中教授。

グレーの素材は、継ぎ目の無いウレタンコーティング。特殊な技術とのこと。

秋田駅待合ラウンジ15

何とミニチュアまである。(非公開品)

 

ふいーー・・・

秋田駅待合ラウンジ17

無事並べ終わって、午前2時頃、解散。

秋田駅待合ラウンジ16

お疲れ様でした!

 

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■将軍野の書斎UP

PROJECTページに、新しく完成したプロジェクト「将軍野の書斎」をUPしました。

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将軍野の書斎01

個人住宅の「はなれ」を増築するプロジェクトです。

既存のお宅とは渡り廊下で繋がっています。

 

何のための「はなれ」かと言えば、本のためです。

お施主さまが何十年もかけて集めた何万冊もの蔵書(の一部)を収納するための「書庫」と、隠居後の「遊び場」が欲しいので、敷地の奥に「はなれ」を建てたいとのご依頼を頂きました。

 

約6000冊以上の本を収納すべき「書庫」は、本の日焼け防止のため、徹底的に光を遮断する空間を必要とします。

一方「遊び場」は、北側に広がる空地を眺め、来客にも対応できる心地よい空間が望まれました。

 

そこで、閉鎖的な「書庫室」を左右2部屋に分けて、真ん中に本を読んだり客人を招いたりできる開放的な「書斎ラウンジ」を配置しました。

外壁とラウンジ内壁をどちらも同じ素材・色とすることで内外が連続して、南側の庭から北側の空地まで風景が通り抜けていきます。

将軍野の書斎02

 

屋根の形状は、近い将来ソーラーパネルの設置を想定した片流れ屋根としています。

本棚など、いろいろなものがお施主さまのDIYによって今後作られていきます。

植栽も「ターシャの庭」のように彩られていくことでしょう。

 

 

 

ところで余談ですが、、、

今回とても嬉しかったのは、駆け出しの自分を、一端の「建築家」として扱ってくださったことです。

お施主さんは実は、秋田を代表する大御所のクリエイターの方だったのですから尚更光栄です。

未熟な部分は多々あったと思いますが、要所要所でつくり手としての姿勢など大事なことを教えて頂きながら、こちらの立場も一貫して尊重して頂き、懐の深さ・器の大きさに感服しっぱなしでした。

また、プライベートでも飲みに誘って頂いたりして、いろんな話をしました。

こうしたお付き合いをさせていただくことで、お互いのことをよく理解でき、信頼関係が築かれ、同じゴールを目指せたと思っております。

大変有り難く勉強になりました。この場をお借りしてあらためて御礼を申し上げます。

そしてこの奇跡的な出会いに感謝します。

 

そして何と、ご厚意により見学も受け入れてくださるとのことですので、ご希望の方はご案内いたします。

問い合わせフォームよりご連絡ください。

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■木造耐火建築

先日、NPO法人まちづくりトライアングル主催の、まちづくり特別講演会「都市の風景・街のディテール」に行ってきた。

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講師は、建築家で秋田美術大学准教授の、小杉栄次郎氏。

 

小杉さんは、秋田で大学の先生をしながら、東京でKUSという設計事務所を構える二足のわらじを履くお方。

一昨年の「市街地木質化実証モデル事業」および「ティンバライズ秋田展」でとてもお世話になった。

秋田に来てまだ3年程とのことだけど、30年以上住んでる自分より秋田に詳しいんじゃないかというくらい、精力的に活動されていて人脈も広い。

・・・自分は何をしているんだろう。。。

 

とにかくその小杉さんが都市について講演するというので、大変興味深く、聞きにいった次第。

序盤は、磯崎アトリエに勤務中に担当した設計物件などの紹介からはじまる。

そして話は、自身が設計された「下馬の集合住宅」へ。

 

「下馬」は、世田谷区に建つ木造5階建てのマンション。

10年以上もの歳月をかけて完成したという。

というのも、「耐火建築物」で「木造」は、現行の建築基準法では、極めて困難な選択だからだ。

普通、耐火建築物が要求される場合には、設計者は迷わずRC造か鉄骨造を選択する。

しかしKUSは、施主が望まれたこともあり、柱や床などの構造部材を開発し、耐火実験・性能試験を行ない、1時間耐火構造の国土交通大臣認定を取得し、この建築を実現させた。

とんでもない労力と時間がかかっている。

 

でもそのおかげで、木造耐火建築物が不可能ではないことを世に知らしめた。

ちょっと昔だったら法的に不可能だった。

2000年に改正された建築基準法で、性能規定で構造を評価する仕組みに変わり、大規模建築であっても「木造」が選択肢のひとつとしてあげられるようになったのだ。

要するに、大丈夫だと証明できれば何で作っても良いよ、ということ。

 

とはいえ、実際に木造耐火を実現するには、クリアしなければいけない課題は他の素材よりはるかに多い。

住宅程度だったら木造のほうが当然安くつくけれど、ビルを建てるとなると話は別。

建設コストも、木材利用促進の補助金等を駆使してやっと鉄骨造と同じくらいらしい。

つまり高い。

 

では、そこまでして、なぜ木造なのか。

木造のビルを建てるには、そのへんのロジックが必要になってくる。

 

そこで、今回講演のテーマである「都市の風景」というのがひとつのキーワードとなるはずだ。

コストとか趣味嗜好とか個人的な事情を超えて、都市に寄与する、公共的・集団的なロジック。

経済性に従うだけが都市の文化ではないと思う。

 

みんなで自分の住むまちのことを考えて、そこにお金を出す。

小杉さんが理事を務める「team Timberize」は「都市木造」というビジョンを提唱しているが、木造はあくまで選択肢のひとつ。

都市にとって、風景にとって何が良いのかじっくり考えて、建てる。

それを都市の知性というのかもしれない。

 

最近では、どんどん状況が活発化していて、メーカーや林業関係者はこぞって構法や素材を開発し、「都市部に建つ木造耐火建築物」が一般化に向かっている。

それはおそらくコスト面でも需要があるからだろうけど。

一般化すれば、小規模建築同様に、鉄骨よりも安く建てられるから。

でもそうなれば、ますます選択肢としての条件はフラットになる。

設計者としては歓迎すべき状況。

 

ちなみに、講演が行われた遊学舎も、木造大架構の構造だった。

初めて入った。

会場は満席。ちょっと遅刻してしまったのでいちばん後ろの席。。。

まちづくり講演会

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