■あきた県産材の家具プロジェクト

あの「喜多俊之」さんが秋田に来るというので、傍観者として関係者の集まりに潜入してきた。

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「秋田県産材を使った家具を海外に売り出そう!」ということで、県が始めた事業らしい。

喜多さんはデザインディレクター的な役割で参加しているらしい。

このために作った家具の数は9種類ほどで、製作は県内よりすぐりの家具職人さん達による。

 

秋田の特産であるスギは針葉樹。

針葉樹は普通、木材としてはやわらかくて家具の材料に向いていないとされる。

そこを逆手に取って、あえてスギを使用して(一部ブナとのこと)、秋田らしい家具を一から作る。

 

確かに大きな可能性を秘めていると思う。

秋田はもともと、秋田木工をはじめとした優れた木質家具の作り手が多い地場である。

 

で、今日は進めてきた家具開発の試作品が完成し、それぞれの家具についてプレゼンする発表会とのこと。

一応、公開の集まりのはずなんだけど、家具製作関係者ばかり20人ほどで、普通の会議室で開催・・・。

秋田杉家具01

工業デザイン界では知らない者はいない、「世界の喜多」。

建築を学ぶ前、大学で工業デザインを学んでいた自分にとっては、喜多俊之と言えば巨匠中の巨匠、伝説のような存在と言っても過言ではない。

(でも初めて見たご本人は物腰やわらかく、全然偉そうにしていなかった。すごい。)

そのネームバリューでもっと大々的に人を集めて一般啓蒙できるはずが、こんな感じで極秘開催とは、ちょっともったいない。

 

それぞれの家具には秋田の地名にちなんだ名前が付けられている。

「OGA」とか「YUZAWA」とか。

秋田杉家具02

これは「AIKAWA」。

いちばん好きだった。普通に欲しい。

ひとつ前の試作段階品のようで、喜多さんのチェックが赤ペンで書き込まれている。

 

秋田杉家具03

スギには赤身と白身がある。

その特性を利用して、赤材に白のラインが規則的にピッピッと入るようなデザインコードで、各家具が統一されている。

このような板材は、製材企業がこのプロジェクトのために個別に製作したもの。

 

喜多さんは全体的な方向付けはしているものの、細かいデザインまではしていないものと思われ、正直クオリティやディテールセンスにはバラツキがあった。

けれど、与えられた課題に対してどうすれば作れるのか、というところではどの家具も職人さん達の技術が光ってた。

部材同士の接合方法など、見えない部分でこそ、こだわりというか職人魂を感じた。

技術も使わなければ廃れていく。

残念ながらおそらく、このような製作家具を作れる仕事は減少傾向にある。

継ぐ者も減っているし。

大量生産の可能な安い家具はそこら中で手に入るし。

 

安くても品質が良ければいいんだけど、軒並み安かろう悪かろうで、それでも消費者はそれを選ぶ。

実に嘆かわしいが、日本はそんな国(マーケット)だと。

この現実に立ち上がったのが喜多さん(と受け取った。)

 

この先は、デザインの街ミラノにも拠点のある喜多さんの力を借りながら、海外(イタリア)への販路拡大を目指していくそうだ。

成功すれば世界に認められた家具ということで、結果地元の需要の底上げにもつながる、と。

ヒットさせるためには、職人が時間を掛けてひとつずつ作っていてはダメで、生産方式とコストのバランスを考えるのが今後の課題とのこと。

 

個人的にはもっとブラッシュアップして、徹底的にカタチにこだわってほしい。

ウリが「秋田スギを使っています」だけでは結局望郷する秋田出身の人しか買わない気がする。

なんだかんだ言って、みんなカッコいいのが欲しいはずだから。

 

そういえば、海外から見て、家具における「秋田らしさ」もしくは「日本らしさ」って何だろう。

少なくとも、「秋田らしさ」=「“良い意味での”田舎臭さ」とかいうふうにはしないでほしいな・・・。

 

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